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高次脳機能障害
【高次脳機能とは何か】
大脳皮質には、運動機能をつかさどる「運動野」、視聴覚をつかさどる「感覚野」、その両方の機能を上手く結びつける「連合野」があります。
この「連合野」こそが人が人たる所以であり、人間の脳の2/3が連合野と言われています。
ちなみに人間の連合野はサルの4倍、チンパンジーの2.7倍とも言われています。
「今日は休みだからのんびりドライブでも行こう」といった何でもない判断・行動が正に高次機能によるものです。
そして高次脳機能障害とは、この連合野が損傷を受け様々な障害が現れることです。
その障害が見た目には分からないため周囲の人に誤解を与えるケースもあり社会復帰の妨げとなっています。
■高次脳機能障害と介護の関係
重度の高次脳機能障害の場合、状来の介護の問題が発生します。介護に関する認定(随時介護、常時介護)は損害賠償においては、非常に大切な要素です。認定にお悩みの方、是非専門家にご相談下さい。
【高次脳機能の典型的な症状】
■失語症・・・話す、読む、書くことができなくなります。
■失行症・・・動作をまねたり、物の使い方がわからなくなります。
■記憶障害・・・ものが憶えられなくなります。
■感情障害・・・無関心、無欲になります。場合によって性格も変わります。
■痴呆・・・記憶障害に様々な障害(失語や失行など)が複合します。
■半側空間無視・・・左右どちらか半分しか認識(見えなく)しなくなります。
■失認・・・視覚、聴覚、触覚などの対象が認知できなくなります。
【評価の着眼点】
高次脳機能障害については意志疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力及び社会行動能力の4つの能力の各々の喪失の程度に着目し評価を行ないます。
■意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力など)
職場において他人とのコミュニケーションを適切に行なえるかどうかなどについて判定します。主に記銘・記憶力、認知力または言語力の側面から判断を行ないます。
■問題解決能力(理解力、判断力など)
作業課題に対する指示や要求水準に正確に理解し、適切な判断を行い円滑に業務が遂行できるかどうかについて判定します。
主に理解力、判断力または集中力について判断を行ないます。
■作業負荷に対する持続力・持久力
一般的な就労時間に対処できるだけの能力が備わっているかどうかについて判定します。
精神面における意欲、気分または注意の集中の持続力・持久力について判断を行ないます。
その際、意欲または気分の低下などによる疲労感や倦怠感を含めて判断します。
■社会行動能力(協調性など)
職場において他人と円滑な共同作業、社会的行動ができるかどうかなどについて判定します。主に協調性の有無や不適切な行動(突然大した理由もないのに起こるなどの感情や欲求のコントロールの低下による場違いな行動など)の頻度について判断を行います。
>>高次脳機能障害整理表(PDF)
【脳外傷による高次機能障害の等級認定にあたっての基本的な考え方】
| 障害認定基準 | |
|---|---|
| 1級 | 「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」 |
| 2級 | 「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」 |
| 3級 | 「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服する事ができないもの」 |
| 5級 | 「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、 特に軽易な労務以外の労務に服する事ができないもの」 |
| 7級 | 「神経系統の機能または精神に障害を残し 軽易な労務以外に労務に服する事ができないもの」 |
| 9級 | 「神経系統の機能または精神に障害を残し 服する事ができる労務が相当な程度に制限されるもの」 |
びまん性軸索損傷
びまん性脳損傷とは、脳全体に回転加速度衝撃が加わった場合、脳内にズレが生じ脳内の神経軸索(神経の束)が切断若しくは損傷されることによって、認知障害や人格変化の障害がでる病態をいいます。
損傷した軸索は、変性し、さらにはゴミとなって取り除かれるので脳の体積がそれだけ減少するのです。
検査方法としては、CT,MRIの検査の他に、脳の血流の分布により脳の機能障害がわかるSPECT(スペクト)検査で所見される可能性が高いといわれています。
脊髄損傷
外傷により脊髄に障害が発生し、神経伝達路が遮断されて傷害部以下に運動麻痺と知覚麻痺自律神経障害が起きます。
頚髄に発生すると四肢麻痺となり、胸髄、腰髄に発生すると対麻痺が起きます。
発生原因としては、日本の1990年から3年間の全国統計では、交通事故が43.7%と最も多く、次いで高所転落が28.9%、転倒が12.9%と続いています。
諸外国でも交通事故が第1位であるが、交通の少ない時代や地域、開発途上国は順位が逆転します。
頚髄損傷と胸髄損傷の発生比率は、頚髄損傷の発生率は1950年代は10%内外でしたが、以後次第に増加し1972年は28.8%、1980年代は50%、1990年には約75%へと増加しています。
原因は最近の救命救急の技術的進歩により、頚髄損傷の死亡が減少したことや、単車事故、プール事故、高齢者の転倒事故などが増えたためです。
脊髄損傷の症状は運動機能障害、感覚機能障害、自律神経機能障害、排尿排便機能障害に大別されます。
完全損傷の場合は損傷髄節以下のすべての機能が失われますが、不完全損傷ではそれぞれの機能が不全の形を示します。
頚髄損傷は四肢麻痺、胸髄および腰髄損傷は対麻痺を示します。
頸髄損傷は麻痺が重度に加え、呼吸機能の低下、起立性低血圧、自律神経過反射、痙性などの随伴症状や褥瘡(床ずれ)、異所性骨化などの合併症が起きやすく、リハビリテーションに多くの時間がかかるため、できるだけ早期から診断、治療、ADL獲得練習を行う必要があります。
■脊髄損傷の後遺障害等級
| 障害の程度 | |
|---|---|
| 1級 | 生命維持に必要な身の回り処理の動作について、常に他人の介護を要するもの。 |
| 2級 | 生命維持に必要な身の回り処理の動作について、随時介護を要するもの。 |
| 3級 | 生命維持に必要な身の回り処理の動作は可能であるが 終身にわたりおおよそ労働に服することはできないもの。 |
| 5級 | 麻痺その他の著しい脊髄症状のため、独力では一般平均人の 4分の1程度の労働能力しか残されていないもの。 |
| 7級 | 明らかな脊髄症状のため、独力では一般平均人の 2分の1程度の労働能力しか残されないもの。 |
| 9級 | 一般的労働能力はあるが、明らかな脊髄症状が残存し 就労の可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの。 |
| 12級 | 労働には通常差し支えないが、医学的に証明しうる脊髄症状を残すもの。 |
PTSD
Post-Traumatic StressDisorder=心的外傷後ストレス障害
通常ではありえないような、心理的負担の大きい体験をした人が、自分の意思とは、無関係にその出来事をくり返し思い出したり(フラッシュバック)不眠や怯えなどに、悩まされる症状のことです。
ストレスによる心の病気はPTSD以外にも急性ストレス反応やうつ病などもありますが、PTSDかどうかということは、一定の診断基準を参考に決められていることが多いようです。
■第9級
【障害認定基準】
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの。
【補足的な考え方】
仕事に就けるものの対人業務ができない運転業務が出来ないなど大幅に職種を、変えざるを得ないものが該当します。
意欲の低下などにより仕事には行けないが、日常生活に支障が時にある場合もこの区分に含まれます。
■第12級
【障害認定基準】
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、多少の障害は残すもの。
【補足的な考え方】
元の職種または同様の職種に就けるが、かなりの配慮が必要とされるものと説明されており、意欲の低下などにより仕事には行けないが日常生活は概ね出来るものもこの区分に該当します。
■第14級
【障害認定基準】
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、軽微な障害は残すもの。
【補足的な考え方】
元の職種または同様の職種に就くことができるが、多少の配慮が必要となります。
外傷性てんかん
外傷性てんかんに係る等級の認定は発作の型、発作回数などに着目し下記の基準によって定められます。
なお1ヶ月に2回以上の発作がある場合には通常高度の高次脳機能障害を伴っているので、脳の高次脳機能障害に係る3級以上の認定基準により障害等級を認定します。
■1ヶ月に1回以上の発作があり、且つその発作が「意識障害の有無を問わず転倒する発作」または「意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作」であるものは、第5級の1の2となります。
■「転倒する発作などが数ヶ月に1回以上あるものまたは転倒する発作など以外の発作が、1ヶ月に1回以上あるもの」は第7級の3となります。
■「数ヶ月に1回以上の発作が転倒する発作など以外の発作であるものまたは、服薬継続により、てんかん発作がほぼ完全に抑制されているもの」は第9級の7の2となります。
■「発作の発言はないが、脳波上に明らかにてんかん性棘波を認めるもの」は第12級の12とする。
頭痛
頭痛については、頭痛の型の如何にかかわらず、疼痛による労働または日常生活上支障の程度を疼痛の部位、性状、強度、頻度、持続時間及び日内変動並びに疼痛の原因となる他覚的所見により把握し、障害等級を認定します。
■「通常の労務に服することはできるが、激しい頭痛により時には労働に従事することが出来なくなる場合があるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」については、第9級の7の2に該当します。
■「通常の労務に服することは出来るが、時には労働に差し支える程度の強い頭痛がおこるもの」については第12級の12に該当します。
■「通常の労務に服することはできるが頭痛が頻回に発現しやすくなったもの」は第14級の9に該当します。
疼痛、カウザルギー、RSD
疼痛(とうつう)とはからだの組織が損傷したことから生じる刺激が、神経系を通じて脳に伝わる感覚をいいます。
痛む部位から中枢神経性の疼痛と末梢神経性の疼痛があり、原因については身体的な痛みと心因的な痛み、精神疾患性の痛みがあります。
疼痛による後遺障害として認定される事があります。
等級としては、非該当、14級、12級に分かれます。
また、特殊な疼痛として「カウザルギー(灼熱痛)」と「RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)」があります。
カウザルギーの認定については、疼痛の部位、性状、疼痛発作の頻度、疼痛の強度と持続時間及び、疼痛の原因となる他覚的所見などにより、疼痛の労働能力に及ぼす影響を判断して、7級、9級、12級にわかれています。
RSDの認定については、
1.関節拘縮
2.骨の萎縮
3.皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)
という症状が健側と比較して明らかに認められる場合に限り、カウザルギーと同様の基準により7級、9級、12級にわかれています。
失調、めまい、平衝機能障害
失調、めまいおよび平衝機能障害については、その原因となる障害部位によって分けることが困難であるので、総合的に認定基準に従って障害等級を認定します。
その認定は神経系統の機能障害として、3級、5級、7級、9級、12級、14級に分類されています。
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